Arancione Fenice’s diary

趣味、いろいろ。日常、いろいろ。

カノニコ生地のチェスターコート

生地はカノニコのダブルメルトン。

写真では複雑な色味を表現しきれない

何とも魅力的な生地。

私はスーツスタイル、つまり服好きがいうところのドレスクロージングが好き。特に生地が好きだったりする。スーツ生地、シャツ生地、コート生地。んー、生地というよりも素材フェチかも。金属や木材の削り出し素材とか大好き。

おっと話がずれてしまった。

一昨年、麻布に直営店があるパターンオーダーのスーツ屋さんでチェスターコートをオーダーした。冠婚葬祭にも使えるバルカラーコートの買い替え。

要件は以下の通り。

  • フォーマル、ビジネス向け。
  • デザインはオーソドックスなシングルチェスター。
  • 色は霜降り感のあるネイビーかグレー(霜降りは付着した埃が目立たないので)。
  • 高級に見えない(他人から高級なものを着ていると思われたくないので)。
  • 生地は冷気を遮断する英国風の密度の高い張りのあるもの(冷え性なので)。

スーツ用の生地ではカノニコが英国生地っぽい張りのある生地を作り始めていたのでカノニコには期待していた。事前に予算感と生地の好みを伝えてから訪問。カノニコのコート生地も取り扱っているとのこと。フィッターさんに見せてもらったコート生地サンプルはカノニコ、コロンボ、国産もの。他は高いので敬遠。

そこで見つけたのがカノニコのダブルメルトン。要件にドンピシャな上に色味に惚れてしまった。濃度の違う青い糸を複数使い、グレイも混ぜて若干霜降り。ルーペで繊維を覗き込むような見方をすると、エンジというか赤い繊維が極めて僅かに含まれている。白っぽい色から明るい青、ネイビーそしてほんのりパープルっぽさもあって色味に複雑な奥行きを与える。明るいところでは青っぽく、暗くなるとネイビーっぽく見える。光線状態によって表情を変える。素敵過ぎる。イタリア人の色彩感覚にはとてつもなく感心してしまう。こういうのは英国生地にも国産生地にも見当たらない。国産のセンスだといかに均一の色目に染め上げるかに集中しそうだ。

スーツやコート、ドレスシューズまでビスポークしちゃうリッチマンの旧友からも褒められた。大満足の一着。